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医療機器の開発において、安全性は単なる付加価値ではなく、製品の信頼性、法的承認、市場参入における「絶対条件」として位置付けられています。生命を扱うデバイスである以上、一つの部品や構造の欠陥が致命的な事故につながる可能性があるため、安全規格の厳守は業界全体で義務付けられています。
Cocarruppuは、医療用機器に対応した高信頼性部品(高電圧絶縁部品、低リーク部品、EMI対策部品など)の供給に加え、設計段階からの技術支援を多数行っており、本記事では「医療機器における代表的な安全規格と、コンポーネントレベルでの対応要件」について詳しく解説します。
【IEC 60601シリーズ:医療電気機器の国際標準】
医療機器分野において最も中心的な安全規格が、IEC 60601シリーズです。この規格は電気・電子機器の安全性、基本性能、EMC(電磁両立性)を対象としており、国際的に広く採用されています。
たとえば、IEC 60601-1では以下のような要件が定められています:
・漏れ電流の制限
・絶縁距離と沿面距離の確保(例:MOPP, MOOP 概念)
・二重絶縁または強化絶縁の採用
・高周波機器におけるEMI制御
・安全性の検証におけるテスト電圧の要件
これらの要件を満たすには、単に規格適合の電源モジュールを採用するだけでなく、基板レイアウトや部品配置、部品間の絶縁設計まで含めた「システム的な対策」が求められます。
【ISO 14971:リスクマネジメント規格】
ISO 14971は、医療機器の「リスクマネジメント」に関する国際規格であり、開発プロセスにおいて予見可能なリスクを体系的に抽出し、それに対する対策を講じるフレームワークを提供します。
この規格に準拠するには、以下のような流れが必要です:
・リスク識別(例:過電流、発熱、静電放電による誤作動)
・リスク評価(発生頻度、影響の重大性)
・対策の立案と実装(回路保護、冗長設計など)
・残存リスクの評価と通知
電子コンポーネントにおいても、「フェイルセーフ性」や「異常時の明確な挙動」が求められるため、開発初期から適格な部品選定がカギを握ります。
【EMC(電磁両立性)の重要性】
医療機器が誤動作を起こす最大の原因の一つが、電磁的干渉(EMI)です。特に病院内には、MRI、超音波診断装置、高周波治療器など、さまざまなEMI発生源が存在します。
IEC 60601-1-2は、EMCに関する要求事項を定めており、医療機器が「外部からの干渉に耐えられること」および「不要な電磁波を出さないこと」の両方が求められます。
これに対応するため、以下のような部品レベルでの対策が重要です:
・EMIフィルタやフェライトビーズの活用
・適切なシャーシ接地とGND設計
・シールドケースやEMC対応コネクタの導入
Cocarruppuでは、IEC 60601-1-2に対応したEMC部品を取り揃え、実績ある回路構成例も提供しています。
【MOPPとMOOP:絶縁設計の基準】
医療機器では、絶縁の「グレード」が明確に定義されており、それが「MOPP(患者保護)」「MOOP(オペレータ保護)」です。
1MOPPは、一般的に4000Vの絶縁電圧、8mm以上の沿面距離を要し、より高い安全性が求められます。したがって、コンポーネントには次のような仕様が必要です:
・UL認証済の強化絶縁トランスやフォトカプラ
・高絶縁フィルムコンデンサ
・シリコン製のダブルインシュレーション端子
これらを設計初期から正しく採用することが、後の認証試験の合格率を大きく左右します。
【ソフトウェアとの整合性も必須】
医療機器はハードウェアだけでなく、ソフトウェア制御による機能安全性も極めて重要です。IEC 62304は、医療ソフトウェアのライフサイクルプロセスを定めた規格であり、コンポーネントと制御ロジックの連携においても「機能分離」「エラーハンドリング」の仕組みが求められます。
たとえば、センサー異常が発生した場合に、ソフトウェアが自動的に停止・警告を発するよう設計されていなければ、システム全体が安全とは言えません。これは、ハードとソフトの協調設計を行う上でも、部品メーカーの技術的理解が不可欠であることを意味します。
【認証取得のためのプロセスと部品サプライヤーの役割】
医療機器を市場に投入するためには、各国の法規制および認証制度をクリアする必要があります。特にCEマーキング(EU)、FDA認証(米国)、PMDA承認(日本)などは、製品販売における必須条件です。
この過程において、部品メーカー(サプライヤー)は単に製品を供給するだけではなく、「技術文書の提供」や「認証レベルの明記」「トレーサビリティの確保」が求められます。
たとえば、Cocarruppuでは以下のような支援を行っています:
・IEC 60601に準拠した部品のデータシート提供
・ROHS/REACH対応証明書の添付
・長期供給保証およびEOL(End Of Life)情報の共有
・型番指定による同一性維持のサポート
こうした取り組みは、医療機器メーカーが外部審査(第三者機関による検査)を受ける際に不可欠なドキュメントの一部となり、開発スピードの向上や認証合格率の向上に寄与します。
【安全規格未対応部品を使用するリスク】
コスト削減のために、一般民生用コンポーネントを医療機器に流用しようとするケースも見受けられます。しかし、これは大きなリスクを伴います。
・絶縁破壊や熱暴走のリスク
・EMC不適合による不具合(誤作動、患者への誤診断)
・監査での是正指摘やリコールの原因
・長期供給保証の欠如による部品調達リスク
特に患者の命に関わる装置においては、一つの不具合が訴訟や社会的信用失墜に直結するため、設計段階から「安全規格に準拠したコンポーネントの選定」が強く推奨されます。
【よくある失敗事例とその回避策】
以下は、医療機器開発現場で実際に発生した「部品選定ミス」による失敗事例です:
● ケース1:電源フィルタがEMC試験に不合格
→
原因は、スペースの都合でEMIフィルタを一般品に置換した結果、ノイズ除去性能が不足し、電波障害を引き起こした。
● ケース2:絶縁フォトカプラの沿面距離不足
→ IEC
60601では8mm以上の沿面距離が必要だが、実装基板での配置が近接し、結果として絶縁破壊のリスクが生じた。
● ケース3:未対応のRoHS違反指摘による出荷停止
→
サプライヤー変更時に新部品の環境規制対応を確認せず、RoHS非対応品を使用したことが後で発覚。
これらのトラブルはすべて、「設計初期に適格な部品とその証明書を用意していれば防げた」問題です。
【設計段階から安全性を担保するためのポイント】
医療機器においては、後付けでの対策では遅く、以下のような「初期段階での設計意識」が極めて重要です:
・システム構成に対する安全アセスメントの実施
・IEC/ISOの最新規格に基づいた部品選定
・回路・筐体・ソフトウェアの連携設計
・EMC・EMI対策部品の初期導入
・部品メーカーとの情報共有と仕様確認
Cocarruppuでは、こうしたニーズに対応するべく、技術者向けのアプリケーションノート、標準構成ガイド、部品選定ツールなども提供しており、実際の導入事例や構成例の共有も可能です。
【まとめ:安全規格対応は製品の「信頼性と未来」を支える】
医療機器に求められる安全規格とは、単なる規制ではなく、「人命を守る設計思想」そのものです。適切な部品選定、EMC対策、絶縁仕様、文書整備、そして信頼できる部品供給パートナーの存在があってこそ、安全な医療機器が成立します。
Cocarruppuは、医療機器業界における豊富なサポート実績を活かし、安全性と信頼性を担保するためのパートナーとして、開発初期からお手伝いします。安全設計に関するご相談は、お気軽に弊社担当までご連絡ください。
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